AMラジオ遠距離受信の部屋 〜全国からお気に入りのラジオ番組を聴こう | AM波の性質・遠距離受信のコツ |
もっと詳しく知りたい方のために。 |
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AMラジオ遠距離受信の部屋<受信してみよう<現在地 |
AMラジオを受信する上で知っておくと便利なことをまとめてみました。「補足説明」も含めて自分なりに分かりやすい表現となるよう心がけたつもりですが,少々難しいところもあると思います。その場合は読み飛ばしていただいて結構ですが,赤文字で記してある部分だけは頭の片隅に残しておいて下さいね。 |
AMラジオの遠距離受信が可能な時間帯は,太陽が沈んだ日没後〜夜明けまで。太陽が照っている日中は難しい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「補足説明」 私たちはラジオ番組を聴く際,放送局の送信アンテナから発信される電波をラジオで受信して聴いているわけですが,送信アンテナから発信される電波は大きく分けて,地表に沿って発信される地上波と上空に向かって発信される空間波とに分けることが出来ます。 AMの電波は地球上空を取り巻いている電離層(太陽エネルギーにより発生)によって吸収・反射される性質を持っています。AMの電波に関係する電離層はD層とE層の2つあり,各々の性質を大まかにまとめると, D層→AMの電波を吸収する性質 E層→AMの電波を反射する性質 ということになります。 太陽の出ている昼間はD層の働きが活発で,送信アンテナから上空めがけて発信された空間波はD層を通る時に反射されずに吸収・減衰してしまい,地上にいる私たちのところにはほとんど届きません。つまり,昼間は送信アンテナから地表に沿って発信される地上波を直接受信して番組を聴いていることになります。地上波は地表に沿ってということから地上の障害物(建物・山)の影響を受け,距離が離れるにしたがい徐々に弱まっていきます。このため,昼間は遠距離受信には適さないということになります。 一方,太陽が沈み夜になると,D層の働きが弱くなり,AMの電波を反射する性質のあるE層の出番となります。上空めがけて発信された空間波は,弱まったD層で吸収されることなく,その上空にあるE層で反射され,地上に戻ってきます。上空には地表にあるような障害物はほとんどありませんから,地表にある障害物を回避すべくE層で反射された空間波はより遠くまで届くことになります。 遠距離受信が可能なのは上空100km付近にあるE層と呼ばれる電離層のおかげというわけです。こういったわけで,夜は遠方にある放送局からの電波が届くようになり,遠距離にある放送局の番組を楽しめるようになるのです。 |
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AMの電波は鉄筋作りの建物内へはほとんど届かない。そのため,遠距離受信など,もともと弱くなった電波の受信場所として,鉄筋作りの室内は適さない。 「補足説明」 AMの電波は木造住宅に対しては透過して電波が室内まで届きますが,鉄筋作りの住宅に対しては大部分反射してしまい,室内にはほとんど届きません。つまり,鉄筋作りの建物内はAMラジオの受信には適さないということになります。室内で受信する場合は鉄筋の隙間となる窓際付近で受信する必要があります。可能ならラジオだけベランダ等に出して,イヤホン等で音声を室内に引き込む方法を取ります。 |
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ラジオの大敵は電化製品から発生するノイズ。ラジオ受信時はTV等の電源を落とすか可能な限り離れる。 「補足説明」 もうすでに経験されていると思いますが,TV等の電化製品の側にラジオを持っていくとザーやブーといったノイズ・雑音が入ります。これはラジオが電化製品から発生しているノイズを拾ってしまうためです。部屋の中に電化製品がありふれている現代,室内は良好なAMラジオ受信を阻む雑音源だらけといってしまっていいかもしれません。私の部屋をパッと見渡しただけでも,TV・ビデオ・ステレオ・パソコン・冷蔵庫・エアコン・ドライヤー・携帯電話等々たくさんあります。実際にその電化製品が雑音源になっているか否かを調べるには,ラジオを電化製品に近づけ,そこでその電化製品の電源をON・OFFにしてみれば分かります。受信状態に変化が見られなければ,その電化製品は雑音源ではありません。変化が見られる場合は,番組を受信するときに極力その電源を落として受信するか,その電化製品から可能な限り離れて受信する必要があります。部屋の中で雑音源を探してもどうしても見つからない場合は部屋の外に雑音源がある可能性があります。マンション等で,隣の部屋からのノイズ等の場合は発見が難しいばかりでなく,隣人との関係などから完全に除去することは無理かもしれません。 |
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ラジオは移動可能な大きさのものを用いる。 コンポのチューナー等,ラジオ単体ではAMラジオを受信できず,付属のループアンテナとよばれるものをつけるとAMラジオが受信できるタイプは避ける。 「補足説明」 ラジオの向きを変えてみると分かるのですが,よく入る向きとあまり入らない向きがあると思います。これは,多くのラジオの本体の中にはバーアンテナとよばれるアンテナが入っていて,このアンテナに指向性(電波をよく受信できる方向と受信できない方向)があるためです。ラジオを回転させて,受信したい電波をもっとも拾える方向(もっとも番組がよく聴こえる方向)を見つけラジオを置きます。通常のラジオにはほとんどバーアンテナが内蔵されていますので,もっともラジオが受信できる位置にラジオを置きます。この際,若干の場所・向きの移動が必要ですので,大きいのは移動するだけでも一苦労です。 また,バーアンテナを内蔵していないタイプ(コンポのチューナー等によくあります)はラジオ単独では受信できず,付属のループアンテナを使用して受信するのですが,この付属のループアンテナはあくまでバーアンテナの代わりで相応の性能しか持っておらず,またコンポの側には電化製品が多いため,ノイズ・雑音が非常にのりやすいのが実状です。避けられるなら避けたほうがよいでしょう。 (注.アマチュア無線機メーカーが出しているAMラジオ用ループアンテナの性能は,専門メーカーだけのことはあり素晴らしいです。以下でループアンテナとよぶ場合は,専門メーカー製のものを指しますので混同しないようご注意ください。) |
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デジタル表記で周波数を選択できるラジオを使用する。 「補足説明」 アナログの操作にはある程度の慣れ(特に短時間であわせる場合)が必要です。実際は受信できるのに実は周波数の選択が適当でなかったなどということがないようデジタル式のラジオをオススメします。 |
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遠距離受信しやすい局と事実上遠距離受信は不可能な局がある。受信場所と聴きたい局までの距離に大きく依存するが,電波を強く発信している都市圏のラジオ局以外は難しい。 「補足説明」 送信所からの電波が強く発信されていればいるほど電波は遠くまで届きます。この電波の強さは送信出力とよばれ,単位はkW(キロワット)で表記されます。この出力は各ラジオ局によって決められており,民放局ではおよそ地方で5kW,都市圏では20kW〜50kW,首都東京は100kW,NHKは主要都市で300〜500kWの高出力で電波を発信しています。電波の到達距離は各放送局の送信出力に大きく依存します。一般的に送信出力(kW)×10(km)程度といわれていますが,地形によりこの距離は大幅に変動します。また,先に説明した通り,遠距離受信する場合は地表に沿って発信される地上波を受信するのではなく,上空にめがけて発信され,電離層からの反射により到達する空間波を受信しているためこの距離はおよその目安です。最後に民放AM局の送信出力を一覧表にして掲載しておきます。5kWの局と100kWの局では単純に見ても20倍も出力が違うことから遠方から地方の局を受信する(例えば北海道から四国のラジオ局を受信する)のは難しいということが分かっていただけるかと思います。
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聴きたい局と同じ周波数で送信している局がある場合は音声が混ざって(混信),非常に聴き取りにくくなる。(聴きたい局の電波の届き)<(聴きたくない局の電波の届き)の場合,聞き分けは非常に困難となる。 「補足説明」 AMラジオの受信周波数帯は,530kHz〜1620kHzまでで,この範囲内で9kHzごとに割り当てられています。現在の日本のAMラジオの送信所の数は,500程度あり,すべてを違う周波数で割り当てるのは事実上不可能です。近隣の県で周波数が重ならないように国が周波数を振り分けていますが,遠距離受信というのは,近場より遠方を聴くというある意味この振り分けに逆行する行為のため,遠距離受信に混信は避けられません。中には同一周波数で送信されている局がない幸運な局もあり,このような局は比較的遠距離受信しやすい局ということになります。 (各ラジオ局別の混信可能性放送局はデータが膨大なため,ココに掲載してあります) |
ひとまずこれだけ知っておけば受信の知識としては十分です。次は実際に受信にチャレンジしてみましょう。 |